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第8日目::イルクーツクを徒歩で極貧観光

 昨日は早めに寝たので8時半には起きていた。このホテルは高いだけあってバスルームのスチームも強力で、ゆうべの洗濯物がすっかり乾いていた。外は相変わらず寒そうだが天気もいい。今日はイルクーツク最後の日なのでじっくり見て歩こう。本当はバイカル湖まで行きたいが出発前の準備不足もあって(全く思いつきで決めたので)時間的余裕がなく残念だ。チェックアウトはロシア号の発車に合わせて午前0時にしてもらってあるので市内観光くらいだったら十分できるだろう。と至極おおよその予定を立ててホテル2階のレストランでクーポンを使って朝食。よくあるバイキング形式だった。おや。春巻きがある。とって食べたが結局中身も味もピロシキだった。ところでお姉さんがとても親切で感心した。ロシア人は給料分の最低限度の切り売り仕事しかしないと思いきや、「たばこはすうか」とか聞いてくれたりセルフのコーヒーもとってきてくれておかわりも注いでくれる。日本じゃこのくらい普通だったけかなあ、とか思い出しつつ腹一杯食べてホテルを出た。
 
 地球の歩き方のマップも記載が少なく、古くて少し精度も悪いので、まずは昨日と同じにアンガラホテル前のキーロフ広場へ向かい、さらに北西の県庁周り、ポリスキー教会やスパスカヤ教会などを眺める。県庁の裏手には永遠の火と称される第二次大戦中の戦没者を忍ぶ、要するに火がたかれており、見張りの兵士が番をしている。見張りは県庁から定期的に交代でソ連式歩き方で歩いて来て行われるのだが、これがまたすっごくかっこいい。ちなみにくしゃみをしたら、直立不動のはずなのにちらっとこっちを見た。やった。動じさせた。
県庁の裏の永遠の火

スパスカヤ教会
     
 さてその後はさらに北に向かいアンガラ川沿いにホテル方面へ向かう。川岸の広場では何人かの地元のがきんちょ達がローラーブレードを練習している(すごくはやっている)。手製のジャンプ台で結構派手な技を繰り出していて層の厚さを感じさせるが、プロテクターもしてないので見ているとはらはらする。で、見ていると彼らは私に気がついて収束してやめてしまった。なんだよー。またイポーニッツが何だとか言ってるんだろう。まあ気味の悪い東洋人に見られてたら嫌だろうけど。ところでふと思えばアンガラ川は世界一きれいな水源直下の川な訳だ。もう少し近くで見てみたい。というわけで塀をよじ越えて川岸へ。アンガラ川の水は思った通りものすごくきれいだった。川幅400mの冷たい流れ全体が白山の沢のような透明度を保っている。ただしゴミが多数流れてくる。すぐ上流の船着き場から捨てたと思われるウォッカのびんが、何本もぐるぐる回りながら流れていく様はなかなか趣深かったが、なんだかなー。

アンガラ川とその向かいのイルクーツク駅
 
 川のカーブに沿って南下し、公園通りからオベリスクを見た後、イルクーツクのメインストリートといわれるバリシャーヤ通りを歩く。なるほど。とりあえず何らかの店でいっぱいのようだ。また例によって外から一見しただけでは何屋なのかさっぱり分からないので、適当に入ってみる。感想、えっちっぽいていうか、そのものずばりなうひひショップが多い。まだ町はずれのせいだろうか。パソコンショップも日本と同じでちょっと町はずれに集まっており、何件か回って巡検。怪しいジャンク&中古ソフト屋でロシア語版のOSR2やらofficeやらCOREL DRAWなんかの「ばったもん違法コピーいろいろCD」と、動くか分からないがゲームソフトを1本ゲット。日本に持って帰れるか不安だが1枚50pだったから没収されてもいいや。こういう店の中の雰囲気も日本のそれと同じで会話も無くどよーんとしており、私のこなれた立ち居振る舞いはその中でごく自然だったと思う。ちなみにインターネットがなかなかつながらず咆哮しまくってる店員がいた。
 
 見覚えのあるレーニン広場を通過したあたりで腹が空き、どっかのКафеに突撃して軽食。相変わらず店員が何と言っているのかさっぱりだし周囲のロシアンのなんかいるぜおいも健在だがすっかり度胸がついてきた。サラダとカツレツとパンとコーヒーにありつくことに成功。食後に一服しながら午後の作戦。中央市場へ向かい、今夜からの食料と土産の物色をすることにした。
我ながらイルクーツクの雰囲気が
良く出ていると思っている一枚。
   
 中央市場脇のデパートがおそらくイルクーツク一番の西洋的リッチな場所であろう。店内はよくあるホームセンターのような佇まいで、物資は豊富だ。とかく西欧の品が珍重されているようで、値段もそれなりにする。私の金銭感覚もだんだんロシアになってきていて、3000円位(750-900P)で売られているシャツが馬鹿みたいに高く思えてしょうがない。闇両替屋がしつこくついて回るのとロシアにいる気がしなくなってきたのとで外に出た。ついで自由市場で食料を買い込む。リンゴ一山とカップラーメンとインスタントコーヒーと小菓子とキムチ等を買った。キムチは懐かしくなっての全くの衝動買いだったが、「お!きむちだ」と感動したら売場の人が韓国人のようで、親しげにハングルで話しかけてきた。ごめんね。実は日本人なの。他に目を引いたのがインド人のいい匂いをさせているスパイス売場で、似たような人が買い物をしていた。イルクーツクは以外と様々な国から人が来ているようだ。全然関係ないが、外に出た時におばあさんがチキンの丸焼きを両手で抱えて泣きながら歩いていて、どうしちゃったんだろう。あれは。その構図が妙に記憶に焼き付いている。
 
 その後は目的もなく歩くだけ歩き、リンゴが重くて夕方五時過ぎにはホテルへ戻った。パスポートとビザを返してもらい、列車のチケットも何とかなって、部屋へ戻り荷物の整理をする。早めの夕食をたっぷり食べて少し寝てから、とホテル内のロシア料理のレストランに行ってみたがやってない。うへぇ。中華の方しか今日は開いてないという。またか。。まあ、またしばらく箸も使えないし。というわけでなるべく昨日と違うメニューで頼んでみた。基本的に同じ味だったが卵と何とかのスープが非常にうまかった。
 
 部屋で寝ていると夜10時くらいに突然電話が鳴って起きる。何だろう。大体わかっているが。がちゃ。「You English OK? Do you want beautiful girl? 」「にぇーすぱしーば」がちゃ。何と懲りずにもう一度かかってくる。がちゃ。「Beautiful..」「にぇーなーだ」がちゃ。おかげで目が覚めた。テレビの英語放送で半端な時間をつぶし、ロビーへ。チェックアウト後トランスファーがなかなかやってこない。列車の出発時刻15分くらい前になってあたふたしながらようやく現れた。ホテルの出口では子供が何人も「Small money.」とか言って集まってくる。私は外国人だが正直情けないのと申し訳ないのとで複雑な心境になった。
 再び10分位で駅へ。ロシア号は既に入線していた。なぜかロシア語とドイツ語で書かれたチケットに書かれた五号車を探し出す。車掌もあわてていて(また怖そうなおばちゃん。ひ〜)、ギリギリだったようだ。自分の7番コンパートメントに入るとすぐ列車は動き出した。最初の同室はミーシャ一人で、若くして実業家で、車の商売をしていてタイシェトまで行くらしい。一通り自己紹介して、さて飲むのかなー寝たいんだな今日は、と思っていると彼もお疲れの様子で、寝た。
 

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