インデックスページ    旅程表    前の日    次の日

第6日目::イルクーツク到着

 

 車内時間恐らく9時くらい起床。ロシア号はモスクワ時間で動いており、それでいて現地時間で人間は生きている。さらにウラジオストックでもそうだったように時差の設定が変で、夜9時のゾーンでもまだ明るかったりする。周りを見るとおねいさんはまだ寝ており、おばさんは私の足下のスペースで窮屈そうに座っていた。アンドリューは向かいの上段で女性がいるのに怪しげな雑誌を読んでおり、とりあえず静かだ。ところでこのおばさんだが、ゆうべ乗ってきたときは気づかなかったが、すごいボリュームの人だ。上に乗っていたのかと思うと実は正直怖くなった。ごめんなさい。
 
 おばさんに悪いと思って「私は上段に移るのであなたは下段を使って」というと、「ハラッッショー」と喜んでもらえた。さてシーツや身の回りの荷物を上に上げ、いざくつろいでみると、ただでさえすごい揺れがさらにすごく感じる。そして寝相が悪いと落っこちれるように柵も何もない。ただし下段と違って暖かくて快適だ。天井には車内放送のボリュームがある。しばし音楽でも聴きながらぼーっとする。曲はすべてロシア語歌詞付きの物で、とにかくロシア的な旋律&ビートだった。基本的に2拍子で、それがだんだん早くなるあれだ。途中テープがワカメになったかと思うと、ついにむぎゅっと止まった。アンドリューが「ロシア製なんだよ」という。お。車掌さんがテープを取り替えたようだ。次は映画のサントラ集のようだ。ラッキー。ところが全てロシア語に吹き替えられ、さらには2拍子に改変されていたりする。でも、これは面白い。ロシア語版「プリティーウーマン」やロシア語版「タイタニックの歌」2拍子改、ロシア語版「スタンドバイミー」など、飽きない。
上段でねっころがった視点より
あっ地球の歩き方が写っている
なんかはずかしい・・
   
 やがてロシア号はウラン・ウデに到着。おばさんは降りてしまった。それにしても最初のおねいさんはまだ寝てる。とにかく外の空気でも吸いに行く。ウラン・ウデには感激な事には蒙古系の人が多く、妙な安堵感に包まれる。北京からの列車の合流点なので商売の人が多いわけだ。ただし全員ロシア語。もちろん日本人は全くいない。ホームの片隅には巨大な蒸気機関車が保存されている。昔は1週間どころかもっと遅かったんだろうなーと眺めた後、食料を買い込む。もうピロシキは飽きていたのでライ麦のパンと牛乳、鳥の足、四角い韓国製のカップラーメンとスナックとガムを買う。これでもなんと60Pで非常によろしい。車内に戻って昼食。アンドリューが紅茶とゆで卵をくれたのでつぶコーンスープをあげた。とても気に入ったようだ。ちなみに韓国製のカップラーメンがとてもうまい。それから判ったことにはロシア人はカップラーメンを食べるときにどうやるかというと、まず砕いて粉末スープとお湯を入れ、スプーンで食べる。どこかの山岳部みたいだ。
 
 その後、一世一代の、なんというかおねいさんしかもふたりが乗ってきた。ひゃっほう。すごいびじん。洗練された感じ。しかしなぜか会話が成立しない。私の発音が悪いらしい。悔しい。英語もだめ。挙げ句の果てにひそひそ笑われている。あっ、今イポーニッツって単語を含めただろう!わらうな〜。あぁっ。。だめだ。完っ全に脈無し。しかもすぐ降りてしまった。最初のおねいさんも同じ駅で降りた。車内はアンドリューと2人になった。 
 
 さて午後になり、バイカル湖はまだかなーと思っていると、あれ、腹の調子が変だ。なんだろう。答えはずばり牛乳。私はロシアに来て食べ物の順応がすんなりいったようで、ウラジオストックの生水も、脂っこいピロシキの連続投入も大丈夫だったが、牛乳はあれは勢いが良かった。力が抜けた。廊下でふと外を見ると川が目立ってきている。完全に凍っているがバイカル湖はもう近いらしい。
川。
   
 アンドリューが呼ぶ。いよいよバイカル湖が見えてきた。おおお。なんというか、とにかくでかい。デッキに行って(タバコを吸う、あのスペースがなぜか一番窓がきれいなため)、写真を撮っていた。それを見るロシア人はいつもの目つきでじろじろ見る。わりーかこのやろー。何となくわかった。にらまれたと思ったとき、こちらもにらみ返すとほぼ100%彼らが視線をそらす。例によって警戒されているだけらしい。まあともかく、しばらくずーっと飽きもせずバイカル湖を眺めていた。地学の世界では訳ありな場所なのだが、そういうような事はやめて、延々終わらない風景は日が沈むまで続いた。アンドリューは一人でトランプしていた。たぶんあきれていたんだろう。
その時世界の陸水の10分の1は
凍っていたわけだ。→もっとバイカル
   
 日も暮れ、アンドリューと余った食べ物で夕食にした。日本から持ってきたレトルトの30倍カレーを、パンにつけるとうまいよといって勧めたがいやがっていた。うまいのに。さてと降りる準備でもするか。マットを畳んでシーツと枕カバーと手ぬぐいを持って車掌室に返しに行く。車掌のおばちゃんは怒っている。???「足りない」だけ聞き取れた。何だろう。他に何かあったかな。切符返してもらえないと滞在証明にならないからなー。部屋に戻ってベッドの下を見るともう一枚シーツが落ちていた。アンドリューのかもしれないが持っていくと切符を返してくれた。現地時間0:44イルクーツク着。アンドリューが「シェスリーパ」という。「ふしぇぼーはろーしぇう゛ぁ。」今度はOKだ。ああ眠い。荷物が重い。ロシア号に乗っていると強制的にだらだらしてていいので、降りるのも面倒な体になってしまった。
 
 ホテルは、インツーリストホテル。イルクーツクでも最高級に近い。近いと言えばイルクーツクのトランスファーほど高い物もない。10分も走ったか?まあいいや。さてホテル入り口にはきれいなプロフェッショナルおねえさまの方々が待機している。ごめんね。というわけで中にはいると英語が通じて外国人向けだ。部屋のキーもフロント一括預かり式で何となく安心。でもモスクワまでの列車の切符がないとか何とか言いだして基本的にロシアだ。部屋は837号室。おお立派。ここで気づいた。普通カーテンと言う設備は薄カーテンと肉厚カーテンの2枚だが、ロシアでは肉厚カーテンの方は2枚合わせても幅が足りず、窓の面積を覆い隠しきれないようになっている。ウラジオストックでもそうだった。監視されているんだろうか。ともかくロシア号の中は汗もかかず別にかゆくもなかったが、3日ぶりのシャワーがありがたかった。そして沈没。
ホテル室内。ごーじゃす。
テレビがなんとSANYO製
こっちはトイレ
   

 

インデックスページ    旅程表    前の日    次の日