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第3日目:買い物に徹する日

 朝、彼らは約束を守ってロビーに来た。買い物をしたいが良い店を知らないので教えてくれというと快く承知してくれた。午前中は町中のミネラルショップを教えてもらって一緒に歩いた。シベリアの原石ねらいだ。ところがどこに行っても加工品しか売っておらず、おみやげ用に何件目かで孔雀石と琥珀製品をゲット。こういう物がウラジオストックはとにかく安い。店をしっかり見定めて150Pも出せばおおっというようなアクセサリーが手にはいる。他にもヒスイの30cmはあろうかという立派な彫りの入った結構な質量の深皿が2000円位だったりして驚く。それから特に外国人は買い物をするなら午後にした方がよい。日々変動するインフレ率を元にした当日の売値をオーナーが店に知らせてない場合が多く、勝手に見越されてふっかけられたりする。
 
 昼は3人で適当に突撃したсафеで昼食。いわゆるレストランよりは大幅に格が落ちる軽食屋なのに、入ると例によってやや薄暗い中にちゃんと有人コート預かりブースなんかがあり一見高級そうな所。要するにロシア人はこういう質感に関して決して手を抜いてみせない。カーテンやカーペットに始まる室内装飾や、さりげなく置いてある家具調度品等も何かと荘厳であり、とにかくロシアッという濃い雰囲気を必ず保っている。日本のちょっと気取った洋食屋なんかよりは断然ムードがよい。他の客でテーブルは7割方埋まっているが、一人で食べに来る人が多い。食事の方はペリメニと超甘ワイン、ワラビのぐちゃっと漬けてある物、等を食べる。1つ1つが相当のボリュームでロシア味は完全に飽きて来つつあったがそれでもなかなかうまい。そしてなんと言っても安い。マジで100P位だった。しかし残念なことには場所がもはや判らない。多分二度とたどり着けない。ちなみにフロアを猫がうろついている。
 
 ここで勉強になった事柄としては、例えば日本人が近くにいて欲しくない等、ロシア人にとって一番大事な昼食はムードから大事にすることと(悪がっだねぃー日本共産党ですらねーんだおれ)、メニューの合間にたばこを吸って構わないことだ。実際ロシア人はヘビーな人が多い。それからこのような地元ロシア人相手の飲食店でも会計時に社会通念上既にチップがいる事になっているらしい。正しいやり方は「シショートパジャールスタ」でおあいそで、勘定書を皿に載せて持ってきてくれるから、5-10%上乗せしたきりのいい金額をおいて待ってると店の人が確認しにきて、マナーとしては「フクースナ」とか「ハラショー」とか適当に言って「釣りはいらないよ」という雰囲気を醸しだし(この時はこっちが微笑むのはよし。相手は相変わらず。なかなかこの辺の気苦労がありますなー)、大事なことはもたもたせずにさっさと立ち上がる、といった流れである。ロシアではチップの習慣はないと書いてあったが最近は結構期待されてるらしい。
 
 ガイドの彼らとはそのあと住所などを交換して別れた。その後は今夜からの汽車旅に備えるべく食料品店をあたる事にした。ロシアの商店の欠点は、外からだとそこが一見何屋なのかさっぱり判らないことだ。まずは入ってみて、ただの住居だったり違う店だったり高かったりしたら、うまく説明できないが、"ロシア人風"に「タークどうなってるんだい」位の表情を見せ、そしてもうすっかり慣れた彼らの目から出るビームと後ろ指を感じながらさりげなく外に出て次に行く(これが妙に楽しい)、を繰り返し、何件も物色する。ところがどこも売ってる物が巨大系のハムソーセージ類やチーズ等の乳製品、大量の豆、そしてパンと中身が分からない缶詰等で、何となく気が引けるムードだ。結局8Pのパン一斤と113g180pという何とも安い最高級ブラックキャビア一缶を買って終わる。また後で食べるかなーと思って露店で12Pでピロシキと正式名称は忘れたが別タイプの大型ピロシキ計2個を買う。今夜乗るロシア号の出発に合わせてチェックアウトのリミットは23:00とのことなので夕方ホテルに戻り、カメラに装填されたきりの悪いフィルムを消費して、テレビを見たり無表情でピロシキを食べたりしながらウラジオストックで最後の日が暮れていった。夕食を改めて食べる元気はもはや無かった。結局ホテルの日本食屋には一回も行かなかった。くるしー。食費は一日100円でいけるという結論に達した。そんなことより少し寝て消化しておこう。
 

 

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