インデックスページ    旅程表    前の日    次の日

第14日目::帰りたくないよ。。

  朝は7時には起床。ついに最後の一日だ。今日は気合いを入れて(せこく)回ろう。7時半にクーポンで朝食を食べに行くとほとんど客がいない。昨日と同じにたっぷり盛りつけて、席で始める。このホテルのゆで卵は3分ボイルの所に固ゆで卵がおいてあったりして、しかもなかなか剥けないので注意が必要だ。朝食の後は部屋で荷造り。バックが小さいので買い物した分、安物のセーターやなんかは仙台市のゴミ袋に入れて「あげる」ってルーズリーフに書いて部屋に残して出た。デジュールナヤに挨拶してロビーでチェックアウト。空港までのトランスファーが午後3時半とのことで荷物預かりのところで預かってもらう。50Pだか取られた。
ホテルの玄関前。

デルタ棟全景。
泊まった部屋は最上階再奥の、
あそこ。
     
 まずは地下鉄に乗り込む。小銭消費のため全部50カペイカと10カペイカ玉で払った。今日の行動目的は新アルバート通りの散策&モスクワ最大の(本人たちに言わせるとヨーロッパ最大の)本屋巡検だ。革命広場駅で下車。ドヴェルスカヤ通りの奥の方にもう一件ミネラルショップがあるようなのでいってみた。無い。おつぶれ遊ばされたようでただの食料品店になっていた。さらにせっかくなのでしばらく歩いてベラルーシ駅まで行ってしまったが時間の無駄なので引き返す。途中露店のあんちゃんにつかまってバッチのいっぱい貼ったペナントが目に止まる。50Pだと言われたが「スプレチャンカ広場で20P。」と適当な事を言うとあっさり20Pになる。マルボロの袋もつけてくれた。もっと安いらしい。他に切手集や古いコインの分厚いスラップブックなどがあり、500Pだと言われる。だんだん高い物を勧めるのがこの人たちのやり方だ。瞬間横にいたソ連グッズ(軍関係&レーニン関係)を売っている人が200Pだ。それ。とか言う。「またくる」と嘘をついて去る。
 少し横道にそれ、ボリショイ劇場の方に歩いていくと地下道の入り口で信じられないくらいとてもかわいそうながりがりの犬が10匹くらい繋がれてひもじそうに寄り添い合ってへたばっている。その脇で疲れたようなおばあさんがロシア語で何か書かれた紙を持っていて、私はこういうのにもうだめになって、「何か食わせろ」的なゼスチャーをして50Pあげてしまった。もっとあげたい気分だったが。
 その先の地下道をクレムリンに向かって歩く。私のすぐ前を革ジャン等フル装備で固めたアメリカン主義ハードロックだぜぇぇ風のろんげ4人グループが歩いていた。ああいるんだなあ。位に思っていたが、そのうちの一人が前を向いて普通に歩いたまま、そのスピードのまま、地下道の真ん中に生えている鉄の支柱にべぎゃっと激突した。鼻から。ばかだなあ。

ドヴェルスカヤ通り。
モスクワ一の商店街道路。
   
 新アルバート通りまでは歩いても行けたが小銭を使いたかったので地下鉄で一駅。アルバーツカヤで下車し、市役所の方に向かう。この辺りは行政関係のまじめ地帯で道も綺麗だ。目的の本屋に到着。入ると品揃えはさすがに豊富そうだ。本だけでなく革製品やステーショナリーやビデオ、パソコンソフトなどのブースがあって、丸善みたいな雰囲気だ。とりあえず科学関係の本コーナーを探す。えーと地学地学。別に地学が目的ではなく、これで勉強すればロシア語の勉強にも身が入ろうという作戦だ。結論。無い。なんてこったい。結局パソコン関係の本一冊ともう2冊(ないしょ)買って外に出た。その後近くのCD屋さんにも入ったがなんだか「ふうん。」と言う感じで印象は薄く外に出る。再びクレムリン方面へと歩き出す。
清潔な新アルバーツカヤ通り。
なんと無い風景。
   
 また地下鉄で革命広場まで行き、グム百貨店へ直行。ルーブルが持ち出しできないので何か使おうというわけだ。まずは2階のファーストフード店で昨日と違ったものすごい具だくさんのサンドイッチとコーヒー。その後はいろいろ回ってパソコンショップに入ってみる。やはりどこも内容、値段や雰囲気は一緒。ただここの店員は優しいし人なつっこい。金持っててちゃんと買いそうだからかもしれない。次にビデオ屋に入る。外来物も多いがロシアオリジナルの映画や何かが結構ある。ただし海賊版みたいなパッケージ。私が買ったのはロシアの歴史物のやつとロシア語版タイタニック。(←馬鹿だ。日本で再生できない。)後は通路の真ん中で売ってる鍋敷きで調整し、残りルーブルはやっと350Pちょいとなった。さてそろそろホテルの方に戻ろう。
 
 地下鉄で再びホテル脇のイズマイロフ公園へ。露店のおばちゃんからおみやげ用にたばこを買う。ゾロタヤを10個くれといったら大喜びして感謝された。半端な時間を散策で費やす。休日はこの辺でフリーマーケットができているらしいが今日はない。かなり広大な針葉樹に包まれた公園で、路面電車も走っている。中には遊園地等もあるが全体として気の毒なほどに寂れている。野良犬が多く、少し歩いただけで10匹以上に出会う。人を見るとよってきて、少し離れたところで座って「なんかくれ」をやる。中国製の飴を一個あげた。気になるのは事故でけがをしているのが多く、折れたままだったり手が一本だけだったりする。中でも両手がないのがいて、肘まで残った一本を使って顎を上げて何とか歩いている。あれは本当にかわいそうだった。それから共通してかなり臭い。シャンプーしてやりたい。ああいたましいなあ。何とかしてやりたいがまあたくましく生きてくれ。
のらは人なつっこい。それでいて
結構人間を警戒している。

開店休業の遊園地。
秘宝館でもありそうな雰囲気。
     
 ホテルに戻り、荷物を受け取ってロビーで待機。喫茶店があるのに気付き、ルーブルも少し余ったのでコーヒーとマルボロを頼んだらおやじに91Pだと言われる。通常の倍は行っている。とってつけた1ルーブルがまたせこい。これはもう明らかに日本人だからと思い切りぼられている。今回第一級の憤慨で、相手の目つきも目つきだったので正直はらわたが煮えくり返ったが、ここは冷静になってポケットの中の120Pちょいの札(全部)をくしゃくしゃにしてたたきつけ、一度やってみたかった、日本語でにこやかにいたくもねーよなめんなこのくたばれあほ。」と言う、をやり、最後だけさげすんで「けっ」て感じで睨みをくれてやってストレス解消してしまった。さすがに「ファッキュー」は通じるのでやめた方がよいのは周知の通り。
 
 トランスファーの人が来る。始めたばっかり風のみるからにカザフスタン人だ。挨拶するくらいで会話もなくけたたましく車はシェレメチェボ空港へと向かう。途中渋滞に捕まり、出発2時間半前なのにまだ市内で、あせる。渋滞を抜けると猛スピードで走り始め、空降着が出発2時間前。別れ際$5を渡し、車内で調べた「安全運転ありがとう」みたいなことを言うと笑顔で見送ってくれた。
 出発ロビー内に日本人はいなかった。まあいいやとにかく帰れるんだ俺は。出発ボードに書かれたSU575便TOKYOの文字。。さて。また地球名物その2、ロシアの出国手続きが始まる。ガイドブック他ではとにかく細心の注意と準備をしてかかれ、という勝負の世界らしい。いやー緊張。キーボードなんてX線でどう見えるんだろう。CD-ROMは。。バイカルの地形図は。。とにかくやらなきゃ帰れない。空港内はなぜか日本での前評判とは全く異なり、がらがらに空いていたので意を決して突撃。ああ、また前の人は荷物開けられて説明している。。。。
 
 空港の出国システムはまず最初に税関だ。また怖そうな軍人さん。パスポートとビザ、航空券と税関申告書を渡す。英語で「金見せろ」と言われる。カメラバッグからドルの札束をどさどさっと積む。日本で一応小額紙幣にしてもらっておいたわけだ。係官が、1ドルの札束を見て「ワ・ワンハンドレッドダラーズ・・」とか言って数えながら吹き出し、げらげら笑いだした。やった。つぼを突いた。と思ってにこやかにしていると途中で数えるのもやめ、荷物もノーチェックで許してくれた。ちょろいもんだ。続いてすぐ奥の空港会社のチェックイン。アエロフロート575便はまだなぜかボードにサインがない。うろうろしているとカウンターのおねえさんが声をかけてくれ、航空券を渡してチェックインさせてくれた。最後は出国審査。外国人の列は混んでおり、ロシア人はすいすい入っていく。全く不公平だ。ここではパスポートとビザをおばさん将校に渡すだけで入国時と同じく2-3分立っているだけ。緊張しまくっていた入国時と違ってぼーっとしながら待っていると、ダスビダーニャと言われて終わり。空港待合エリアに入る。思わず、「自由の身だ・・・」と今日2回目の日本語が口をついて出た。
 
 シェレメチェボ空港はトランスファーでの利用者が多いらしい。入国して外に出るのは世界一級の仕事なので皆空港内で寝泊まりして出発を待っているようだ。空港ビバーク。などと観察しながら広い空間を歩いてみる。空港内は今も撮影禁止なのだが、どこかよその西洋人がびくびくしながらコートで隠して空港内の風景をカシャとかやっていた。それから免税店はおいておいて、その他のお店が結構多い。大小の飲食店やCD屋さん等々居心地は良さそうだ。ただしかなり物は高く、私が知る限りの商品の相場は外の10倍程度である。ファーストクラス専用の領域もあってさすが広い国だ。英語も通じるが基本的に店の人は第一にロシア語を使う。ビデオショップに何となく入った。デモで流している映画がロシア製の飛行機墜落物だった。店員さんが暇そうにこれを見ている。ロシアだ。
 
 いよいよSU575便の搭乗手続きが始まる。搭乗待合領域に入るとどこから湧いたか日本人がうじゃっといた。外国人は少数。久しぶりにこれほど多くの日本人を見て違和感すら感じた。話はしなかったが聞いているとサッカー追っかけのサポーターの集団らしい。一人だけ冬装備。浮いてる感じ。さて機内へ。機種はA320で、来るときと違ってハイテク機。せめてお姉さんの隣が良かったが無口そうな暗そうなあんちゃんの隣だった。機体が動き出し、一生懸命な事が分かる日本語のアナウンスを聞きながらいよいよ離陸。長かったなー。まだまだ居たいな。ついにロシアとお別れだ。。。。。。それにしてもさすが太い国際線だけあって丁寧な離陸。それよりモスクワまで一週間もかかったのにたった10時間で帰れるという、この少しばかりの空しさ。まあ、満足はしているさ。
 その後飲み物と食事のサービスがあり、ちょっとだけ周りよりロシア語が使える優越感に浸って、機内時間は更けていく。日本か。。
 

インデックスページ    旅程表    前の日    次の日